街づくり

Cities: Skylines II 渋滞解消テク

更新: 城崎 拓真(きのさき たくま)
街づくり

Cities: Skylines II 渋滞解消テク

Cities: Skylines IIの渋滞は、道路を広げるだけでは戻ってきます。人口1万〜10万人規模で街が詰まり始めた段階こそ、交差点処理、通勤と買い物、物流、駐車、事故と季節の5系統に原因を分けて見極め、8つの手を順番に当てると流れが安定します。

人口2万人規模の都市で、唯一の高速出口に通勤車両と物流トラックが朝夕に集中して真っ赤になる事例があります。
出口直後の信号を外してラウンドアバウトに替え、工業地区から商業地区へ抜ける直結路を足しただけで待ち行列は半減しました。
本作のTraffic AIは時間や費用、快適さまで見て経路を選び、駐車も交通の一部として計算されるため、渋滞は「道が足りない」より「流れの設計が噛み合っていない」で起きる場面が多いです。

駅前でも同じで、送迎車とバスが路上駐車に塞がれていた区画は、駐車場の満空を踏まえた配置と歩行導線を整えただけで、バスの定時性が戻る感触がありました。
この記事では、初心者から中級者に向けて、PC版(2025年末時点のBike Patch適用相当)を前提に、挙動の再現性が高い渋滞解消手順を解説します。
パッチや今後のアップデートで細部の挙動は変わる可能性があるため、該当バージョンのパッチノートも合わせて確認してください。

前提知識:対応バージョンと渋滞が起きる仕組み

対象バージョン・プラットフォーム

本ガイドが前提にしているのは、都市開発シミュレーションCities: Skylines IIのPC版です。
開発はColossal Order、販売はParadox Interactiveで、PC版は2023年10月下旬に発売されました。
対象プラットフォームはSteamなどのPCストアで遊ぶ版に絞っており、コンソール版は含めていません。
価格はSteamの参考価格で米$49.99というデータがあり、日本円の正規価格は地域設定や販売形態の確認が必要なため、ここではドル建ての参考値のみ押さえておきます。

本記事は2025年末時点のBike Patch適用相当の挙動を前提にしています。
Bike Patch(2025年時点)の変更には自転車や歩行者に関する調整が含まれており、自動車交通への偏りを緩和する方向と受け取れる点があります。
ただし、公式の意図表明や定量的な効果は限定的であり、効果の大きさを断定することはできません。
自転車導入だけで渋滞が自動的に解消するわけではなく、道路容量、交差点密度、駐車、物流、事故の組み合わせを考慮する必要があります。
PC版に話を限る理由は、交通の詰まり方を見極めるには更新履歴と挙動の追跡が欠かせないからです。
本作は発売後も交通・歩行・公共交通の振る舞いに手が入り続けており、同じ都市設計でもバージョンが違うと詰まる場所がずれることがあります。
さらに、2026年からはシリーズの開発主導がIceflake Studiosへ移行する予定です。
その考え方は通用しますが、細かなAI挙動や事故まわりの調整は今後変わる前提で見ておくと、パッチ後の違和感を拾いやすくなります。

Traffic AIと駐車・事故の要点

本作の渋滞を理解するうえで外せないのがTraffic AIです。
車両や市民は、単に最短距離だけで動いているわけではありません。
実は裏で、時間、費用、快適さ、そして行動要素まで含めて経路が選ばれています。
ここがポイントなんですが、道を1本増やしても、その道が「速い」「安い」「歩く距離が少ない」「駐車しやすい」と判断されなければ、期待したほど流れてくれません。

駐車もこの判断に深く食い込みます。
Cities: Skylines IIでは、目的地の近くに停められるか、駐車料金がどうか、路上駐車で済むかといった要素が交通流に反映されます。
高密度住宅や中密度以上の住宅が集まる区画、駅前、商業密集地では、目的地周辺をぐるぐる回る駐車探索が発生しやすく、これが交差点を詰まらせる起点になります。
満車の駐車場でも車がいったん入口に寄って確認してから出ていく挙動があるため、駐車場前に短い待ち行列ができ、それが本線側へあふれると一気に流れが崩れます。

事故も見逃せません。
季節や天候は景観の演出ではなく、交通容量そのものに効いてきます。
雨や雪で路面条件が悪化すると、事故発生と処理の遅れが重なって、一時的なボトルネックが生まれます。
筆者の都市でも、大雨の夕方に工業地区から商業地区へ向かう幹線で事故が連鎖し、現場へ向かう警察車両まで渋滞に巻き込まれたことがありました。
このとき効いたのが、普段は余力を残していた公共交通レーンです。
一般車両を全部そこへ流すのではなく、救急と警察の迂回余地として温存しておく設計にしていたおかげで、完全停止だけは避けられました。
事故そのものを止めるより、緊急車両が詰まらない構造を先に作るほうが、都市全体の復旧が早いと実感した場面です。

このあと触れる道路設計の話は、こうしたAIの判断を踏まえたものです。
Grid modeで交差点間隔を整えたり、ラウンドアバウトで停止回数を減らしたり、歩行者道路で歩車の干渉を分けたりすると、渋滞は「詰まってから解消する」より「詰まりにくい形にする」へ変わっていきます。
道路拡張だけに頼るより、構造そのものを調整したほうが再発を抑えやすい理由はここにあります。

マップ規模と外環設計の余地

本作はマップ規模の大きさも渋滞対策に直結します。
建設可能エリアは最大441タイル、約171.33km²で、前作比では約5倍のスケールです。
中心市街地の混雑だけを見ていると見落としがちですが、この広さがあるおかげで、住宅地と工業地の間に緩衝帯を置いたり、物流を都心から外へ逃がすバイパスを敷いたり、外環道路を育てたりといった設計の余地が生まれます。

渋滞が深刻になる都市には、中心部を通らなくてよい車まで都心へ入ってくる共通点があります。
特に工業地区と倉庫、商業地区、外部接続の流れが一本の幹線に重なると、通勤車両と物流トラックが同じ交差点で争う形になり、朝夕に崩れます。
マップが広い本作では、中心を最短で抜ける道を増やすより、都市の外側に物流リングや外周幹線を作って、通過交通を先に振り分ける発想が通用します。
Traffic AIが時間や費用を見て経路を選ぶ以上、遠回りでも止まらない外環があると、都市中心部の負荷を分散させやすくなります。

碁盤目を広く敷き詰めるだけでは、交差点密度が上がって信号停止の回数が増え、見た目以上に流れが鈍ります。
そこで役立つのが、Grid modeで街区寸法を揃えつつ、幹線・補助幹線・生活道路を最初から分ける考え方です。
ラウンドアバウトや歩行者道路も、この広いマップだからこそ無理なく差し込めます。
外環、物流バイパス、駅前の歩車分離は別々の施策ではなく、広い土地を使って交通の役割を分ける一連の設計としてつながっています。

挙動面では、今後のアップデートも視野に入れておきたいところです。
Bike Patch(2025年末時点)で歩行者と自転車の選択肢が増えたことで、短距離移動の偏りを和らげる土台は整っていますし、開発主導の移行後は交通や経路選択の調整が入る余地もあります。
渋滞対策の基本的な考え方は変わらない一方で、細かな挙動はバージョン差が生じる可能性がある点に留意してください。

まず確認したい渋滞の見分け方

ボトルネックの特定法

対策に入る前は、街全体を何となく眺めるのではなく、最も赤い場所を3か所だけ選ぶところから始めます。
ここで時間帯を固定するのが肝です。
朝の通勤時間、昼の物流時間、夕方の帰宅時間を混ぜて見ると、別の原因が一つに見えてしまいます。
同じ時刻で止めて観察すると、「毎回ここで詰まる恒常ボトルネック」と「特定条件だけで崩れる一時ボトルネック」が分かれます。

筆者はまず交通量ビューで、赤が最も濃い区間を3つに絞ります。
数を増やしすぎると診断が散って、結局どこから直すべきか見えなくなるからです。
そのうえで、それぞれを高速出入口、交差点、住宅街、工業地帯、駅前のどれに当てはまるか分類します。
この分類には意味があります。
高速出入口なら流入集中、交差点なら信号や右左折競合、住宅街なら抜け道化、工業地帯ならトラック偏重、駅前なら送迎車とバスと歩行者の干渉が疑えるからです。

次に見るのは、待ち行列の末尾ではなく先頭です。
渋滞している列の後ろを見ても、そこは結果でしかありません。
先頭まで追っていくと、実際に車列を止めている“原因交差点”が見つかります。
たとえば高速出口から長い列が伸びていても、本当の原因は出口そのものではなく、その先の短い信号交差点だったということは珍しくありません。
住宅街の細街路が真っ赤でも、犯人は一本先の幹線への合流点という形で現れます。

ここがポイントなんですが、Cities: Skylines IIのTraffic AIは距離だけでなく時間や費用、快適さまで見て経路を選ぶので、見た目に広い道があるだけでは流れてくれません。
駅前に車が集まるのも、単に道路容量不足ではなく、送迎、買い物、駐車探索、バス停前の滞留が一つの交差点へ重なっていることが多いです。
分類と先頭確認をセットで行うと、「どの種類の詰まりなのか」と「どの交差点が停止命令を出しているのか」が切り分けられます。

物流/公共交通ビューの活用

道路の色だけでは、なぜそこへ車が集まるのかまでは読めません。
そこで次に使うのが交易、輸出入、公共交通の各ビューです。
まず交易や輸出入の表示で、物流がどこに偏っているかを見ます。
特定の外部接続にトラックが集中していないか、工業地区から商業地区へ向かう流れが一本の幹線に乗り切っていないかを確認すると、通勤渋滞に見えたものが実は物流渋滞だったと分かる場面があります。

工業地帯の渋滞は、工場周辺の道を広げても止まらないことがあります。
理由は、工業地区の出口で詰まっているのではなく、外部接続へ向かう幹線や商業地区への搬入ルートが一点集中しているからです。
交易ビューで流れの向きを追うと、どの外部接続へ吸い込まれているのか、どの区間で工業から商業への車列が密集しているのかが見えてきます。
道路の赤さだけ見ていると「交差点を直せば済む」と考えがちですが、実際には物流の偏りが上流で発生していて、下流の交差点がそのしわ寄せを受けているだけというケースが多いです。

公共交通ビューでは、駅やバス停の利用状況と、乗換え導線の悪さをセットで見ます。
利用者が多いのに周辺道路も真っ赤なら、公共交通が不足しているのではなく、駅までの歩行ルートが破綻している可能性があります。
階段や歩道が途切れていないか、横断歩道の位置が遠回りになっていないか、バス停から駅入口まで無駄な横断が発生していないかを細かく追うと、車と歩行者の干渉点がはっきりします。

筆者の都市では、駅前の歩道が1タイルだけ欠けていたことがありました。
見た目には小さな抜けですが、そのせいで歩行者が横断待ちに集まり、そこへ駅前の路上駐車が重なり、バス停前で車列が詰まり、バスが遅れる連鎖が起きていました。
道路本線やバス路線そのものより、歩行者の渡り方がボトルネックだったわけです。
このときは歩道側をつなぎ直し、歩道橋を一本通しただけで、横断待ちと停留所前の滞留がほどけました。
駅前の渋滞は車線数ではなく、歩く人の導線が原因交差点を育てていることがあります。

ℹ️ Note

駅前や商業地の渋滞で車の流れだけを追うと、歩行者の未接続や横断位置の悪さを見落としがちです。赤い道路の隣にある歩道の切れ目こそ、最初に潰すべき原因になることがあります。

駐車と季節・事故の切り分け

駐車まわりは、本作で見落とすと再発しやすい部分です。
駐車場の台数不足だけでなく、駐車場の出入り口で逆流していないかまで見ないと、駅前や商業地の渋滞は解けません。
満車の駐車場では、車がいったん入口へ寄って確認し、その後に出ていく流れが発生するため、入口前で短い滞留が生まれます。
この短い列が本線に触れると、交差点手前の直進車線まで巻き込んで停止を広げます。

見る場所は駐車場そのものより、出入り口の前後です。
入口が交差点の直近にある、バス停の前後に路上駐車が発生している、交差点手前の減速帯が駐車探索の車で塞がっている、といった形なら、渋滞の見え方は交差点渋滞でも原因は駐車です。
特に高密度住宅や駅前では、空きを探す短距離走行が周回交通を生み、それがバスや配送車の遅れに直結します。

もう一つ切り分けたいのが、恒常的な渋滞か、雨雪やラッシュ時、イベント時、事故でだけ悪化する渋滞かという点です。
毎日同じ時間に詰まるなら、道路構造や需要配分の問題です。
一方で、普段は流れているのに雨雪の日だけ崩れるなら、事故や減速の連鎖を疑うべきです。
ラッシュだけ悪化するなら通勤需要、イベント時だけ駅前が詰まるなら歩行者集中と駐車探索の組み合わせが本命になります。
同じ赤でも、恒常対策と一時対策は分けて考えたほうが整理しやすい、ではなく、手を打つ場所がまったく変わります

筆者はここで、同じ地点を平常時と悪天候時で見比べます。
平常時から列が伸びているなら道路か導線の構造、悪天候時だけ崩れるなら事故処理と退避余地、イベント時だけなら臨時需要の逃がし方に焦点を当てます。
こうして駐車起因、物流起因、公共交通起因、季節・事故起因を切り分けておくと、次の対策で道路拡張に頼りすぎずに済みます。
渋滞は一つの症状に見えても、診断の段階で原因を分けられると、直すべき場所が急に具体的になります。

テクニック1〜4:道路設計と交差点処理で流れを整える

幹線/生活道路の分離設計

道路系の改善で最初に効くのは、速く遠くへ行く車近所の出入りをする車を同じ道に載せないということです。
幹線道路は通過交通を受け持ち、住宅地の中は生活道路で細かく受ける。
この役割分担を作るだけで、交差点ごとの停止回数が目に見えて減ります。
ここがポイントなんですが、渋滞の多くは道路幅不足ではなく、用途の違う車列を一つの道に混ぜたことから始まります。

具体的には、住宅や小規模商業が幹線へ直接何本もつながる形を避け、いったん集散道路に受けてから幹線へ流す構造にします。
住宅前の短距離移動、配送、通勤の右左折が幹線上で何度も発生すると、本線の流れがそのたびに削られます。
反対に、生活道路側で集めてから少数の接続点で幹線へ出すと、幹線は「止まりながら走る道」ではなく「流し続ける道」へ変わります。

筆者は住宅地区を広げるとき、最初に区画を埋めるのではなく、幹線、集散道路、生活道路の順に骨格を作ります。
Cities: Skylines IIは道路ツールの自由度が高く、見た目の収まりだけで接続を増やすと、裏で交差点の判断回数が増えて流れが鈍ります。
住宅から幹線への出入口を減らした都市は、同じ交通量でも列の伸び方が短くなります。
一本ずつの小さな右左折を本線から追い出す効果が大きいからです。

生活道路の抜け道化も防ぎたいところです。
幹線が詰まると、交通AIは時間や負荷を見て住宅地をショートカットに使います。
そこで、生活道路は接続数を絞り、通り抜けの旨味を薄くする設計が効きます。
住宅地の中を格子でつなぎすぎず、外周の集散道路に交通を寄せるだけで、静かな街区と流れる幹線を両立できます。

交差点間隔と右折処理

幹線道路を整えても、交差点が密集していると流れはすぐ詰まります。
理由は単純で、一つの信号で止まった列が次の交差点の内部まで伸びると、青信号になっても前へ進めないからです。
交差点は数より間隔です。
信号を増やすほど制御できるように見えて、実際には停止点を量産しているだけという場面がよくあります。

特に詰まりやすいのが右折待ちです。
直進が流れていても、右折車が一本止まるだけで後続がまとめて詰まり、隣の交差点へ波及します。
そこで、右折需要がある場所では右折専用レーンや右折分離を考えます。
本線の直進列と右折待ちを切り離せれば、同じ交差点でも処理能力の体感がまるで違います。
右折車を「本線上の障害物」にしないことが肝心です。

筆者が人口3万人規模の都市で詰まったときも、原因は派手な幹線不足ではなく、T字交差点の右折待ちでした。
信号付きのT字では、本線から枝道へ曲がる車が一台止まるだけで後ろが連なり、その列がすぐ上流の交差点へ触れていました。
この地点をミニラウンドアバウトに替えたところ、車が少しずつでも回り続けるようになり、平均待ち時間は体感で半分近くまで縮みました。
停止と発進を繰り返す交差点より、低速でも流し続ける交差点のほうが強い典型例でした。

交差点間隔を広げるときは、枝道を全部なくす必要はありません。
近接した接続を整理し、主要な交差点だけに役割を持たせれば十分です。
100メートル進むたびに判断を迫られる幹線より、少し遠回りでも整理された交差点へまとめた幹線のほうが、都市全体では速く動きます。
見た目の最短距離と、シミュレーション上の最短時間は一致しません。

⚠️ Warning

幹線が赤くても、原因が本線そのものではなく「右折待ちのはみ出し」であることは珍しくありません。交差点の中央に車が残っていないかを見ると、道路拡幅より先に触るべき場所が見えてきます。

ラウンドアバウトの設計

ラウンドアバウトは、信号待ちをなくして流れを切らさないための道具です。
全部の交差点に向くわけではありませんが、中程度の交通量が複数方向から集まる場所では、とても素直に効きます。
停止命令を一斉に出す信号交差点と違い、空いた隙間へ順に流し込めるので、車列が一方向だけに固まっていない場面に強いです。

設計では、接続本数と円の大きさの釣り合いが重要になります。
接続が多いのに円が小さすぎると、進入と退出が干渉して中で詰まります。
逆に、交通量が軽い場所で大きく作りすぎると、回り道の時間だけが増えます。
筆者は、まず進入方向ごとの車列の長さを見て、右左折の混ざり方が近い交差点からラウンドアバウト化します。
直進偏重の幹線同士より、枝道の出入りや方向転換が多い結節点のほうが効果が出ます。

ミニラウンドアバウトは、町中のT字や小規模十字路で使うと扱いやすい形式です。
先ほど触れた人口3万人の都市でも、信号付きT字をそのまま広げるより、ミニラウンドアバウトへ切り替えたほうが流れました。
ここでは最高速度より、停止回数の削減が勝ちます。
車が完全停止せずに進めるだけで、後続の連鎖停止が消え、交差点前の詰まりが短くなります。

一方で、高速出口直後や極端に交通量が偏る場所では、ラウンドアバウト単独で抱え込まない設計も必要です。
流入方向が一つだけ重すぎると、円の中へ入りたい車が並び、他方向を圧迫します。
その場合は、進入前の車線数調整や並行路との組み合わせで受け皿を作ったほうが安定します。
ラウンドアバウトは万能ではなく、交差点を止めないための一手として使うと失敗が減ります。

進入側増線・一方通行・並行路

ボトルネックが合流や出口の手前にあるなら、本線を長く広げるより進入側だけ短く強化するほうが効率的です。
交差点や合流部の直前で1車線足して、入る車と抜ける車を分ける。
これだけで、本線の直進列が巻き込まれにくくなります。
広い道を延々と作るより、混ざる直前の数十メートルを整えたほうが結果が出やすい理由はここにあります。

一方通行化も、密集市街地では即効性があります。
対面通行のまま細い道路へ需要を押し込むと、右左折と対向待ちが重なって交差点の判断が増えます。
そこで数本を一方通行のペアにすると、交差点の動きが単純化し、曲がる車の待ち方も整理されます。
とくに商業地の裏道や駅前の補助道路では、行きと帰りを別ルートに分けるだけで、本線へ戻る位置が分散します。

並行道路の発想も見逃せません。
一本の幹線にすべてを集めると、通勤、買い物、配送、駐車探索が同じ信号列に並びます。
そこで、少し外側に並行路を作って短距離移動を逃がすと、幹線には通過交通だけが残りやすくなります。
筆者は商業地区の外周に補助道路を一本通し、駐車場や搬入口へのアクセスをそちらへ寄せることが多いです。
本線上で店ごとの出入りが連続する状態を崩すと、信号一つあたりの負荷が軽くなります。

高速出口まわりでは、出口直後に信号を置かないのが原則です。
ランプから降りた車が減速、進路変更、分岐判断をまだ終えていない段階で停止命令を出すと、列が本線側へ逆流しやすくなります。
出口の先は、まず流してから分ける。
必要ならラウンドアバウトや一方通行の分散路で受け、信号交差点は少し離して置く。
この順番にするだけで、都市の入口にできる真っ赤な塊がほどけます。

ここでも共通する考え方は同じです。
車を増えた分だけ受け止めるのではなく、混ざる前に分け、止まる前に逃がす
道路設計の即効薬は、幅そのものより、交差点へ入る直前の処理にあります。

テクニック5〜6:公共交通と歩行導線で車そのものを減らす

地下鉄・バスの網づくり

道路を増やしても、通勤ピークの需要そのものが変わらなければ、混雑は別の交差点へ移るだけです。
ここがポイントなんですが、朝夕に一斉に動く通勤車両は、道路側で受け止めるよりMetroやバスへ逃がしたほうが、街全体の流れが安定します。
大量輸送の強みは、1台ずつ別々の判断で交差点へ入ってくる自家用車を、まとまった単位の移動に置き換えられるということです。
交差点で処理する台数そのものが減るので、前のセクションで触れた右折待ちや合流詰まりの再発も抑えやすくなります。

とくに効果が出るのは、住宅地から就業地へ向かう流れが時間帯で偏っている都市です。
郊外から都心へ向かう幹線が朝だけ真っ赤になるなら、幹線を太らせる前に、その需要をどこで公共交通へ受け渡すかを考えたほうが筋が通ります。
Cities: Skylines IIは交通AIが時間や費用、快適さを踏まえて経路を選ぶ設計なので、自家用車で都心まで突っ込むより、途中で乗り換えたほうが移動全体の負担が軽い状態を作ると、需要の分散が起きます。

筆者は中規模都市を育てるとき、地下鉄を都心の幹として置き、住宅地の細かな集客はバスで拾う形をよく使います。
地下鉄だけで全部を賄おうとすると、駅の間隔が広くなって「駅まで車で行く」動きが増えますし、バスだけだと今度は道路混雑に巻き込まれて定時性が落ちます。
幹線は地下鉄、枝葉はバスという役割分担にすると、道路と公共交通が奪い合わずに補完関係になります。

P+Rと停留所設計

郊外側では、駐車してから乗り換えるP+Rの発想が効きます。
専用機能の細かな仕様は確認できていませんが、駐車行動そのものが交通流に影響する以上、都心の駐車探索を減らす設計には意味があります。
都心まで自家用車で乗り入れて空きスペースを探す動きは、走行距離のわりに交差点を何度も踏み、路上駐車や駐車場入口の滞留も招きます。
そこで外周に駐車の受け皿を置き、その先を高頻度のバスや地下鉄で結ぶと、都心内部に入る車の総量を抑えられます。

ただし、P+Rは「停める場所を作れば終わり」ではありません。
乗り換え先の駅や停留所まで歩く動線が遠回りだと、自家用車のほうが選ばれます。
歩行距離そのものより、横断待ちの回数や、駅入口までの曲がり方の多さが効いてきます。
駅前広場の設計でも、送迎車が入口近くへ集中すると、それだけで一車線が止まり、バスも詰まります。
歩道や歩道橋で駅と周辺街区を直接つなぐと、送迎のための短距離走行や路駐が減り、道路側の負荷も軽くなります。

筆者が印象的だったのは、中央駅の乗降が多いのに横断歩道が遠く、みんなが最短距離を求めて車道を横切る裏導線に流れていた都市です。
表の設計図では広場と幹線がきれいにつながっているのに、実際の人の流れは駅前の角を斜めに抜けていて、その場所で車も歩行者も詰まっていました。
ここで道路本数は増やさず、駅の両側から直接入れる歩道橋を2本通したところ、横断の集中点が消え、駅前交差点の滞留だけがほどけました。
車線数はそのままでも、歩く人の通り道を正しく用意すると、渋滞はそこで解けます。
需要管理は道路の外でも進められる、と実感した場面です。

ℹ️ Note

駅前で詰まっているときは、車列の長さだけでなく「人がどこを歩きたがっているか」を見ると改善点が見つかります。遠い横断歩道より、駅入口へまっすぐ届く歩道と立体動線のほうが、車道への干渉を減らせます。

公共交通レーンの副次効果

バス優先や公共交通レーンは、単にバスを速く走らせるためだけの設備ではありません。
一般車と同じ列にバスを混ぜると、停留所での乗降がそのまま後続車の停止要因になりますし、定時性が崩れると公共交通へ移したい需要を受け止めきれなくなります。
専用レーンを通せば、通勤ピーク時でもバスの移動時間が読みやすくなり、自家用車より選ばれる理由が生まれます。

ここで見逃せないのが、事故や局所的な詰まりが起きたときの逃げ道として機能する点です。
一般車線が塞がった場面では、すべての交通が同じ場所で立ち往生する構成がいちばん弱いです。
公共交通レーンを別に持っている道路は、平常時はバスの定時運行を支え、障害発生時には都市機能を完全停止させない保険になります。
交通AIが状況に応じて経路を選ぶ以上、全モードが一本の車列に依存しない構造は、それだけで強いです。

停留所の置き方も、レーンの効果を左右します。
交差点直前に停留所を置くと、バスの停車が信号待ちと重なって流れを切りやすくなります。
反対に、交差点から少し離して歩道接続を短く取れば、乗降と交差点処理が分離され、一般車への影響も抑えられます。
歩道橋や歩行者道路を停留所へ直結させると、利用者は信号を何度も渡らずに済み、駅前の送迎需要も薄まります。
公共交通を伸ばす施策は、車の代替手段を増やすだけでなく、歩く道と停まる場所まで含めて設計したときに、初めて道路需要の削減として効いてきます。

テクニック7:物流とゾーニングを見直してトラック渋滞を減らす

通勤渋滞と物流渋滞は、同じ「道路が混む」でも対処法が違います。
前者は人の移動先と時間帯の偏り、後者は荷物の発生源と搬入先の結び方が原因です。
ここがポイントなんですが、住宅地の幹線が赤くなっているからといって、全部を通勤需要だと見なすと手を打ち損ねます。
昼間に詰まる長い車列、交差点で膨らむ大型車、商業地の裏通りに並ぶ配送車が目立つなら、先に物流の流れを切り分けたほうが街全体は整います。

Cities: Skylines IIは交通AIが移動コストを見て経路を選ぶので、物流にとって最短の抜け道が住宅地の中にあると、そこへ素直に流れ込みます。
つまり、トラックに「通るな」と願うより、住宅地を通る理由そのものを設計から消すほうが効きます。

産業-商業の接続設計

物流でまず見直したいのは、産業地区と商業地区の位置関係です。
原材料を出す産業、加工を担う工業、商品を受け取る商業が、住宅地を挟んで点在していると、往復動線が生活道路に食い込みます。
工場から店へ向かう便と、外部へ輸出する便が同じ道路を奪い合う形になるため、通勤ピークとは別の時間にも渋滞が残ります。

配置の考え方は単純で、産業から商業へ向かう物流の幹線を先に引き、その周囲に街区を乗せるということです。
原材料の受け口と加工地区は近づけ、商業地へは住宅地を横断しないルートでつなぎます。
住宅地の近くに商業を置く発想自体は間違いではありませんが、その商業を支える補給線まで近所の道路に背負わせると破綻します。
商業地の表側は住民のアクセス、裏側は荷捌きと補給というように、役割を分けて考えると整理しやすくなります。

筆者も以前、工業地帯と都心商業を一本の幹線で直結し、街の中心を物流の近道にしてしまったことがあります。
最初は距離が短く見えて合理的でしたが、日中になると搬入トラックが列を作り、都心の交差点処理まで巻き込んで崩れました。
そこで外周に物流専用の回り道となるリング状の幹線を敷き、都心の内側に入れるゲートを絞ったところ、トラックの流れが外側で完結するようになり、昼間の車列がそこでほどけました。
道路本数を増やしたというより、物流が街の中心を通る必然を消した形です。

この発想は、通勤需要との分離にもつながります。
朝夕に増える自家用車と、昼間も一定量で動く配送車が同じ交差点を使う構成だと、ピークが重なった瞬間に処理が破綻します。
産業と商業の接続を外周側へ寄せれば、通勤幹線は人の移動に集中でき、トラックは別の帯域で流れるようになります。

外部接続の分散

物流渋滞でもうひとつ見落としやすいのが、輸出入車両の偏りです。
外部接続が一方向に寄っている都市では、港でも高速でも鉄道でも、使える出口が実質ひとつのような状態になり、そこへトラックが吸い寄せられます。
街の中の道路設計が悪いというより、都市の外へ出る流れが一点集中しているわけです。

こういう都市では、産業地区の前を太くするだけでは足りません。
外部接続へ向かうルートを複線化して、どこか一か所に輸出入車両が偏らない構造へ変える必要があります。
外周幹線から別々の接続先へ分ける、産業の種類ごとに使う出口を事実上分ける、都心を経由しないまま外へ抜けられるルートを持たせる、といった分散が効きます。
道路ツールの自由度が高いCities: Skylines IIでは、こうした外周バイパスの組み直しが前作よりやりやすく、マップも広いので物流用の迂回帯を確保しやすいのが利点です。

実際の見分け方としては、渋滞している道路を拡大して、走っている車が「誰のためにその道を使っているか」を見るのが早いです。
都心へ向かっているように見えても、実際には街を素通りして外部接続へ向かうトラックが混ざっていることがあります。
その場合、問題は都心需要ではなく、輸出入の出口不足です。
逆に、商業地へ入る配送車が多いなら、産業と商業の接続不良が主因です。
同じトラック渋滞でも、行き先で対策が変わります。

💡 Tip

昼間の幹線が詰まるときは、通勤車ではなく輸出入トラックの偏りを疑うと原因に届きやすくなります。住宅地から遠い場所で車列が始まっているなら、外部接続の一点集中が起点になっていることが多いです。

外部接続を分散すると、事故や一時的な滞留への耐性も上がります。
物流がひとつの出口だけに依存している都市は、そこが詰まった瞬間に産業全体が連鎖的に重くなります。
複数の流出先がある都市では、AIが別ルートを取りやすく、都心側へ逆流する現象も起きにくくなります。
ここでも大事なのは道路の本数そのものではなく、物流が中心市街地に戻ってこない構造です。

住宅地の抜け道を塞ぐ

トラック渋滞で住民満足度まで傷めるのが、住宅地の抜け道化です。
幹線が詰まるたびに大型車が住宅街の二車線道路へ流れ込む構造だと、騒音や事故リスクの話だけでなく、交差点密度の高さで物流側も遅くなります。
住宅地の道は交差点が細かく、右左折も多く、配送トラックに向いた形ではありません。
それでも通るのは、幹線より近いからです。

対処はシンプルで、住宅地を通ると得をする構造を壊します。
通行止めで物理的に抜けられなくする、一方通行で通り抜けの連続性を切る、住宅地の外周にバイパスを置いて大型車の最短経路をそちらへ移す。
この三つを組み合わせると、生活道路は住民のアクセス専用に近づきます。
ポイントは、住宅地の入口を全部閉じることではありません。
居住者向けの出入りは残しつつ、反対側へ抜ける連続ルートだけを消すということです。

筆者は、幹線の裏に並ぶ住宅ブロックが毎日トラックの迂回路になっていた都市で、中央を貫く一本道を途中で切り、外周のバイパスだけを素直につながる形に変えたことがあります。
すると大型車は住宅地へ入っても先へ抜けられないため、最初から外周へ回るようになりました。
住民車両の移動は保ちつつ、物流だけを追い出せた形です。
ここでも効いたのは車線追加ではなく、経路選択の前提を書き換えたことでした。

住宅地の抜け道対策は、通勤渋滞との切り分けにも役立ちます。
朝夕に住宅地が混むと、つい通勤車を疑いますが、昼間まで同じ道に大型車が残るなら、それは生活道路が物流網に組み込まれているサインです。
通勤は公共交通や歩行導線で逃がし、物流は外周バイパスとゲート制御で分離する。
この二層構造にすると、同じ「赤い道路」でも対策の軸がぶれなくなります。

テクニック8:駐車場・路上駐車・事故対策をセットで入れる

駐車需要の見積もり

渋滞対策というと幹線や交差点に目が向きますが、実は裏で交通を悪化させているのが駐車需要です。
Cities: Skylines IIでは駐車そのものが交通シミュレーションに組み込まれているので、中密度以上の住宅地や商業地の周辺に駐車先が足りないと、目的地の近くをうろつく車が増えます。
道路容量が不足しているように見えても、原因は走行ではなく「停める場所を探している時間」にあるわけです。

特に中密度住宅が連なる通りや、店舗がまとまった商業ブロックでは、来訪車両と居住者車両が同じ縁石を奪い合います。
この状態で駐車場が乏しいと、路上駐車が交差点手前やバス停付近にまで伸び、直進レーンや左折レーンの実効幅が削られます。
すると一見二車線ある道路でも、実際には一車線分しか流れていないのと同じ状態になります。
ここがポイントなんですが、駐車需要の不足は単独で終わらず、バスの停車遅れ、交差点進入の詰まり、配送車の二重駐車まで連鎖していきます。

配置の考え方は明快です。
中密度以上の住宅周辺には居住用の駐車受け皿を、商業周辺には短時間利用を吸収する駐車場を用意して、路上で需要を処理しない構造に寄せます。
あわせて、バス停前後や交差点直前は駐車させない前提で道路空間を使うと、公共交通と一般車両の両方が安定します。
道路を太くする前に、縁石際が交通処理なのか駐車処理なのかを切り分けるほうが効く場面は多いです。

都心外周で駐車して公共交通へ流す発想も相性がよく、都心内部で駐車探索が発生しにくくなります。
専用のPark and Rideとして明示されたオブジェクト仕様までは確認できませんが、外周で駐車需要を受けて、そこから質の高い公共交通へつなぐ考え方自体はこのゲームの交通AIと噛み合います。
都心の道路を通行のために使い、駐車探索のために使わせない設計が効きます。

満車時の入口詰まり対策

駐車場は、あるだけでは足りません。
満車時の挙動まで含めて入口周辺を設計しないと、むしろ新しいボトルネックになります。
本作では、車が駐車場へ入ってから満車を認識し、出る動きが重なるため、入口前の短い区間で減速と停止が発生しやすいのが利点です。
幹線に面した駐車場ほどこの影響が強く、右左折で入ろうとする車、出ようとする車、通過車両が一点でぶつかります。

筆者が商業モール前の渋滞を直したときも、主因は交差点ではなく駐車場入口でした。
表通りに面した大型駐車場がほぼ常時満車で、入庫しようとした車が入口前で詰まり、入った車がすぐ出てくるので出口にも列が伸びていました。
そこで入口の手前に短い退避ベイを設け、入庫待ちの車が本線を塞がない形に変えたうえで、需要の一部を受けるサブ駐車場を背後に増設しました。
さらに正面道路に張り付いていたバス停を背面道路側へ移すと、停車バスと入庫待ち車列が干渉しなくなり、ようやく流れが戻りました。
道路そのものを増やしたというより、満車時の失敗動線を本線から切り離した形です。

この手の詰まりでは、駐車場の容量不足だけでなく、入口前に待避の余地がないことが致命傷になります。
幹線直結の駐車場しかない都市では、満車のたびに本線上へ列があふれます。
対策としては、入口前に数台分の退避スペースを挟む、裏道側にも副入口やサブ駐車場を置く、需要の高い施設を一つの駐車場だけに依存させない、といった分散が効きます。
駐車場を目的地の真横に一極集中させるほど、入口は交差点のような処理点になります。

💡 Tip

商業施設前の渋滞が交差点から始まって見えても、起点が駐車場入口というケースは珍しくありません。入口へ曲がろうとして減速する車と、満車で戻る車が同じ場所に重なると、本線の青信号時間まで食い始めます。

路上駐車の扱いもセットで見たいところです。
駐車場が満車だからといって周辺道路に停められる余地を残すと、入口詰まりが路肩詰まりへ形を変えるだけです。
特に交差点前とバス停周辺の路上駐車は、車線数よりも交差点処理能力を落とします。
交差点直前の数台が消えるだけで左折や直進の通りが戻る場面は多く、ここは見た目以上に差が出ます。

事故/天候への備え

事故と天候も、駐車や路上滞留と切り離して考えないほうが流れを整えやすくなります。
雨や雪のタイミングでは事故が増え、ただでさえ余裕の少ない幹線に停止車両や緊急車両が入ってきます。
そこへ路上駐車や駐車場入口の滞留が重なると、一時的な減速がネットワーク全体の詰まりへ育ちます。
普段は回っている道路でも、事故時に逃がし先がない都市は一気に崩れます。

そこで効くのが、幹線に対する非常時のバイパスを最初から持たせるということです。
物流の外周分散で触れた考え方と似ていますが、こちらは事故時の迂回先として機能する並行ルートを確保するイメージです。
一本の大通りに商業、通勤、バス、救急動線まで全部を載せると、どこかで止まった瞬間に都市機能が同時に遅れます。
並行道路や背面道路へ一部需要を逃がしておけば、幹線が詰まっても全停止にはなりません。

公共交通レーンの価値もここで上がります。
平時は輸送効率のための設備ですが、事故や悪天候で一般車線が乱れたとき、バスが独立して動ける構造は都市全体の回復を支えます。
自家用車が減るぶん、警察や救急が通れる余白も生まれます。
交通AIは時間や快適さを含めて経路を選ぶので、道路網に複数の選択肢がある都市ほど、事故時の偏りが一点に集中しにくくなります。

警察車両の到達性は見落とされがちですが、事故が増える天候では特に効いてきます。
警察署や救急施設が近くにあっても、到達ルートが満車駐車場の前や路上駐車だらけの商業通りを通る構成だと、現場へ向かうまでに詰まります。
施設配置だけで安心せず、そこへ向かう道路が常時クリアかどうかまで見ておくと、事故後の回復が早くなります。
幹線の片側にしか緊急動線がない都市より、裏動線や短い接続路で別方向から入れる都市のほうが、事故一件で全域が止まりません。

駐車場、路上駐車、事故対策を別々に処理すると、修正しても別の場所で詰まりが再発します。
同じ道路空間を「走る車」「停める車」「助けに向かう車」が取り合っていると捉えると、どこに余白を残すべきかが見えてきます。
渋滞の色が濃い場所だけでなく、その道路が満車時や雨雪時にどう振る舞うかまで想定すると、普段の流れも崩れにくくなります。

よくある失敗例

碁盤目/交差点過密

Cities: Skylines IIで序盤にやりがちな失敗が、街全体を全面碁盤目で埋める設計です。
Road Toolsのグリッド機能は整然と区画を切れるので、住宅も商業も工業も同じ間隔の交差点で並べたくなります。
ただ、ここがポイントなんですが、見た目の整理と交通処理の効率は別物です。
交差点が短い間隔で連続すると、ひとつの右折待ちや信号待ちが次の交差点へすぐ波及し、やがて通り全体が連鎖的に詰まります。

特に危険なのが、幹線まで碁盤目の延長で細かく刻んでしまう形です。
交差点が近接すると、手前の青信号で進んだ車が次の赤で止まり、後続が前の交差点内部に取り残されます。
すると直進も左折も右折も同じ箱の中で詰まり、処理能力が一気に落ちます。
道路の本数は増えているのに、流せる車は減るという初心者泣かせの状態です。

筆者も序盤は「太い道は正義」と考えて、碁盤目の中心軸だけを次々に拡幅していました。
ですが、太くした先で待っていたのは、出口と交差点に車が溜まるだけの再発パターンでした。
そこで幹線と生活道路を明確に分け、生活道路は局所接続、幹線は交差点数を絞る構成へ切り替えたところ、同じ人口帯でも詰まりの戻り方が目に見えて減りました。
道路の太さより、どこで交差させるかのほうが効きます。

💡 Tip

碁盤目は住宅地の内部道路としては便利ですが、幹線まで同じ密度で交差点を置くと、ネットワーク全体が「止まりながら進む」構造になります。整って見えることと、流れることは一致しません。

高速出口設計の罠

高速出口の直後に信号交差点を置くのも、典型的な失敗です。
見た目には接続が素直で、都市側へすぐ分岐できて便利に見えますが、実際にはランプから本線へ出た車が停止し、後続が高速側へ積み上がります。
出口ランプは一時的に車を受け止める余地が短いので、ここで止まると都市内の渋滞では済まず、高速本線の流れまで巻き込みます。

この罠が厄介なのは、出口直後の信号が単体ではそこまで混んで見えないということです。
詰まりの発生源は交差点でも、飽和しているのはランプの待機長だからです。
ランプ上で進路変更、減速、右左折待ちが重なると、本線へ合流したい車と、都市へ降りたい車が同じ場所でぶつかります。
高速は流れて初めて意味がある道路なので、出口で止める設計は根本的に相性がよくありません。

筆者が人口2万人前後の都市で苦しんだのも、まさにこの形でした。
唯一の高速出口の直後に普通の信号交差点を置いていたせいで、朝は通勤車両、昼は物流、夕方は買い物客が全部ランプに積み上がっていました。
交差点の先を何車線にしても改善せず、結局は出口直後で止めている構造そのものが原因でした。
出口後にいったん流し、少し離してから分配する形へ変えると、同じ道路幅でも詰まり方が変わります。

ここでは「高速出口の近くに交差点を置く」のではなく、「高速出口で止めない」が原則です。
ランプを出てすぐ信号、横断歩道、バス停、駐車場入口が重なる設計は、どれも出口の処理能力を削ります。
都市側へ入った後に一呼吸置いてから振り分けるだけで、ランプの閉塞は起きにくくなります。

駅前の路駐/停留所詰まり

駅前を公共交通の拠点にしたのに、駅前に駐車場をひとつも置かない設計も失敗しやすいのが利点です。
車で送り迎えに来る需要や、周辺施設へ短時間だけ停めたい需要の逃げ場がないと、その車は路肩に滞留します。
結果として、駅前ロータリーのつもりで作った道路が実質的な路上駐車帯になり、バス停、タクシー動線、交差点進入部をまとめて塞ぎます。

本作では駐車行動そのものが交通に影響するので、駅前に駐車場ゼロの状態は「公共交通を優先している」のではなく、「停車需要を道路上へ押し出している」に近いです。
特に駅前交差点の直前や停留所の横で送迎車が止まると、停車中のバスが追い越せず、後ろの一般車も詰まります。
駅前は人が集まるぶん、短距離移動と一時停止が重なりやすく、路駐の悪影響が普通の商業通りより濃く出ます。

筆者が修正した駅前でも、最初は「公共交通中心だから駐車場は少ないほうがいい」と考えていました。
ところが実際には、駅前に寄せたバス停の周囲へ送迎車が溜まり、停車バスと重なって交差点の青時間を食っていました。
駅の正面に全部集めるのをやめ、短時間需要を受ける駐車スペースを少し離して受け、停留所を交差点から離しただけで、駅前の詰まりはだいぶ落ち着きました。
車をゼロにできないなら、止まる場所を道路外へ逃がすほうが効きます。

駅前で詰まるときは、列車やバスの本数だけでなく、送迎、買い物、乗り換え待ちの車がどこで止まっているかを見ると原因が見えます。
駅前に駐車場ゼロ、停留所は交差点脇、そこへ路駐が重なる形は、初心者都市で本当によく起きます。

拡幅頼みの限界

渋滞を見るたびに道路を広げる、という対処も再発を招きます。
もちろん短期的には効きますが、交差点の処理、駐車、物流、歩行導線がそのままだと、広げた道路が新しい車を集めるだけで、詰まりの場所が少し先へ移るだけになりがちです。
道路拡張だけで解決しようとする姿勢は、見えている列に反応しているだけで、列が生まれる理由を触れていません。

たとえば、交差点前が詰まっているのに手前の道路だけを拡幅すると、交差点へ同時に到達する車が増え、信号現示の取り合いがむしろ厳しくなります。
商業地区で駐車場不足が原因なのに幹線を広げれば、駐車場入口へ曲がる車列が長くなるだけです。
物流が住宅地を抜けているのに道路を太くすると、今度は太い生活道路にトラックが吸い込まれます。
どれも「流したい場所」ではなく「止まる理由」を分離しないまま通行量だけ増やした結果です。

筆者自身、序盤は拡幅で押し切ろうとして何度も遠回りしました。
四車線、六車線へと足しても、出口と交差点で詰まる構造が残っている限り、赤い区間は別の場所に移るだけでした。
そこから幹線は通過交通、生活道路は出入り、物流は外周寄りと役割を切り分ける方針へ変えてから、同じ場所が何度も詰まる現象はぐっと減りました。
道路を増やすより、道路に載せる役目を整理したほうが再発を抑えられます。

拡幅は手段のひとつですが、単独で使うと根治になりません。
交差点間隔、高速出口、駅前駐停車、駐車場配置まで含めて見直してこそ、広げた道路が生きます。
車線数は結果を支える器であって、原因そのものではありません。

まとめ:渋滞はボトルネック特定→車を減らす→処理能力を上げる順で直す

渋滞対策は、太い道を足す前に、まず詰まりの発生点を見つけて役割ごとに切り分けることが先です。
筆者の感触でも、診断、需要分散、供給改善の順に直すと、道路だけ太くしてまた詰まるループから抜けやすくなります。
着手順は、最も赤い3地点の原因分類、交差点間隔と出口の修正、駅や停留所への歩行接続と駐車受け皿、物流の外周化、駐車と緊急時バイパスの整備で十分です。
道路拡張単独より、公共交通と駐車、物流まで束ねる総合対策のほうが再発を抑えやすく、本記事もその進め方を勧めます。
挙動はアップデートで変わりうるので、Bike Patch以降や開発体制移行後の版では、時間帯を固定してポーズも使いながら再観察してください。

ℹ️ Note

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